遅ればせながら、オーストリアであった国際大会での事について
書きたいと思います。
昨年より監督を務める坂梨監督にお声がけいただいた事をきっかけに、
コーチとして代表チームのお手伝いをさせていただきました。
今年の我々の最大のミッションは、ヨーロッパ選手権において
B-POOLからA-POOLに上がる事。
わかりやすく言うとヨーロッパのトップクラスに食い込むことです。
その大きな目標に向けてメンバー選考やワークショップを繰り返し、
僕自身もチェコとオーストリアの往復を何度もして、いつも以上に
充実した時間を過ごさせてもらいました。
大会に備えて、あらゆる状況を想定しながら
ベストと思われるメンバーを作り上げるのは本当に困難を極めました。
スタッフ一人一人の野球観も違えば、育った国も違う。
ロースターの関係で投手ができる選手をあえて選ばなくてはいけなかったり、
怪我で離脱してしまったり。
また選手達にもそれぞれの思いがあって、
この国を背負って戦う大会に心も体も合わせてきてる。
色んな思いが駆け巡る中で、時には非情な決断をしなくてはいけない事もある。
その最終ジャッジをするのは監督の仕事。
決断に対して時には批判を浴びせられることもある。
監督という仕事の責任の重さを見た。
大会が始まれば、各国のチームが集まり
気持ちは余計に引き締まる。
さらに、入念なプロモーション活動の甲斐もあって
オーストリアのゲームは毎試合満員でチケットは売り切れが続き、
とても野球がマイナースポーツであるとは感じない空間だった。
重要なゲームはというと、初戦のポーランド戦に大差で勝利して
イスラエルには敗北を喫するものの、苦しい戦いを勝ち抜いて
ファイナルに駒を進めることができた。
相手はスウェーデンで、元々A-POOLにいた為に
この大会では立派な優勝候補。
オーストリアVSスウェーデンのこの対戦カードは
予想通りといっても過言ではない。
このシチュエーションを想定して戦ってきたし、
分析チームもこのためにスウェーデンの情報を入念に
収集している。
そしてファイナル。
興味があればこちらから試合の様子をご覧いただけます。
2年前のファイナルに僕は立っていなかったけど、
最終回に起きた一つのミスで、手に届いていたはずの勝利が
こぼれ落ちていった話を聞いた。
その時の思いがスタッフにも選手にも強くあり、
負けていい試合などないけれど特に強い思いを感じる日だった。
それこそ、お客さんからも同じような意気込みを感じた。
勝ちたいと気持ちが勝たなければいけないという念に
徐々に駆られていったような空気があったけど、
どこかそこに気付かないようなふりをしていたかもしれない。
明らかに『硬さ』を感じていた。
結果として主導権を握られていたような試合展開だったが、
8回裏に出た味方のホームランで5-4と勝ち越した。
あまりに劇的だった。
しかし、そこに我々サイドに一瞬のスキが生まれていたかもしれない。
その一瞬のスキを突くように9回に逆転されてしまい、
その裏の攻撃でも追いつくことができずに、負けてしまった。
勝負の世界はいつだって残酷だ。
頑張ったからと言って結果が伴うわけじゃない。
いいパフォーマンスができたからといって結果が伴うわけじゃない。
だけど勝たせてあげたかった。
選手達の試合後に泣き崩れる姿を見て、
その懸けていた想いの大きさを再び知った。
あの時間から、早くも1ヵ月が経った。
今年の夏は本当に暑い。いや、熱かった。
ヨーロッパであれだけの熱い試合に関われたこと、
野球人として新しい経験に遭遇できたこと。
オーストリア代表の一員としてグラウンドに立たせてもらった事を
本当に誇りに思います。
これからどんな形で自分が見てきた事や得た事、
感じた事や学んだことを表現できるかはわからないけど、
必要であれば求められるタイミングがまた来ると思います。
大きな思い出を胸に、また次の一歩に向かいたいと思います。
Kenny
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