これまで見てきた様々な国の様々な選手達。
伸び悩む選手の共通のメンタリティーのひとつがタイトルにもありますが「限界を自分で決める者」です。
プロになるだけの身体的なポテンシャルのある選手であれば、ある程度普通にこの国で野球をしていたらそのままプロに選ばれるのがこの国の普通です。眠ったポテンシャルを見出すことよりも、評判やわかりやすく言えば150キロ投げることができるとか、そういうものでドラフトされるのが現状です。
つまり、高校や大学からそのままドラフトされていない選手は、ほぼ同類だといえます。自分も現役時代はその部類でしたが、そういった選手が現状を打破して「向こう側」に行くためには何かを得ないといけません。そして何かを得るためには、やはり何かを捨てなくてはいけません。その何かはもちろんそれぞれで異なります。もっと言えばその何かが何なのか把握することも実力のうちといえます。
私は生き方と野球選手としての能力は共通すると考えています。ある真面目でリズム感のない選手にこういうアドバイスをしたことがあります。「クラブに通ってみたら?」と。
私がカナダにいた頃に共に過ごした中南米の選手達は、食事中でも歌うこともありましたし、TVから流れてくる音楽のリズムに合わせて、踊り出すこともありました。お行儀の話は置いておいて、彼らにはしっかりとビートが刻まれています。それは守備中のボールまでのアプローチや、打席の中でのタイミングの取り方、あらゆる部分にそのビートがプラスに働いているように思います。だから単純にその選手にはクラブに通ってリズム感を養うのも、伸び悩んでいる彼が現状打破するためには必要なことだと思ったからそういうアドバイスをしました。
ですが、あまりに彼の中では想像できないアドバイスだった為か、「自分はそういうのはあまり・・・」という答えでした。
自分の枠を超えられなければ、成長はありません。新しい挑戦の先にはいつも新しい景色が待っていて、同じ景色も違って見えます。その違いに心が震え、またその先の景色も見てみたいと思う過程で成長していくんだと思います。
自分を評価するのはいつだって自分ではなく、他人です。プロ野球選手になりたいと懇願しても、決めるのは他人です。だったらひたすら今と過去の自分と決別しながら成長するしかありません。
高い目標を持つ者には、限界は自分で決めないでほしいと思います。
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